HX STOMP XLをスタジオやライブハウスのギターアンプで使う場合、私がおすすめする接続方法が「リターン挿し」です。
リターン挿しとは、HX STOMP XLをアンプのRETURN端子に接続し、実機アンプのプリアンプを通さずにパワーアンプとスピーカーを使用する方法です。
HX STOMP XLのプリアンプモデルを音作りの中心にできるため、スタジオやライブハウスで使用するアンプが変わっても、普段作っている音を再現しやすくなります。
私も、HX STOMP XLのプリアンプモデルからMarshallのRETURN端子へ接続する方法を、スタジオやライブで使用しています。
この記事では、リターン挿しの仕組みや接続方法、メリット、実際に使用しているセッティングを紹介します。
- HX STOMP XLをアンプにリターン挿しする方法
- 通常のINPUT接続との違い
- リターン挿しのメリットと注意点
- 私が実際に使用しているプリアンプモデルと接続方法
HX Stomp XLの紹介およびスナップショットについての記事もありますので、こちらもご参照ください。


今回紹介するHX STOMP XLはこちらです。
※Safari等でリンクが表示されない場合は、「コンテンツブロッカーをオフ」にして再読み込みしてください。
HX STOMP XLについて
HX STOMP XLは、アンプやエフェクターのモデリングを搭載したギター用プロセッサーです。

本体の基本的な仕様や、通常のHX STOMPとの違いについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
※この記事では、HX STOMP XLを実機アンプのRETURN端子へ接続する方法を中心に解説します。

HX STOMP XLのリターン挿しとは
私がスタジオやライブハウスで本物のアンプを使う時の接続方法ですが、アンプにリターン挿しをしてます。
アンプのINPUT端子に接続する場合
一般的にギターをアンプのINPUT端子へ接続すると、信号は次の順番で流れます。
ギター → アンプのプリアンプ → パワーアンプ → スピーカー
アンプの歪みは、主にプリアンプ部分で作られます。
この接続で、アンプの前にディレイを置いた場合は、次のような順番になります。
ギター → ディレイ → アンプのプリアンプ(歪み) → パワーアンプ
ディレイ音にもアンプの歪みがかかるため、設定によっては反復音が潰れたり、音が濁ったりすることがあります。
一方、歪みの後ろにディレイを配置すると、歪ませた音に対してディレイをかけられるため、反復音を比較的クリアに出しやすくなります。
ギター → 歪み → ディレイ → クリーンに設定したアンプ
アンプの歪みを使いながら、ディレイやリバーブを歪みの後ろに配置するために用意されているのが、アンプのセンド・リターンです。
ギターアンプの仕組み
リターン挿しを理解するために、ギターアンプの基本的な仕組みを簡単に説明します。
Marshallなどのスタックアンプは、大きく分けて次の2つで構成されています。
- アンプヘッド
- キャビネット(スピーカー)
さらに、アンプヘッドの内部は主に「プリアンプ」と「パワーアンプ」に分かれています。
ギター → プリアンプ → パワーアンプ → キャビネット
それぞれの主な役割は次のとおりです。
- プリアンプ:歪みやイコライザーなどで音色を作る
- パワーアンプ:プリアンプで作った音を、スピーカーを鳴らせる音量まで増幅する
- キャビネット:スピーカーから実際の音を出す
JC-120のようなコンボアンプは、アンプ部分とスピーカーが一体になっていますが、基本的な信号の流れは同じです。
アンプの歪みを使いながら、ディレイやリバーブを歪みの後ろに配置したい場合は、プリアンプとパワーアンプの間にエフェクターを接続します。
そのために使用するのが、アンプのセンド・リターンです。
センド・リターン(エフェクトループ)とは
多くのギターアンプには、背面に「SEND」と「RETURN」という端子が搭載されています。
「FX LOOP」や「エフェクトループ」と表記されている場合もありますが、基本的な役割は同じです。
それぞれの端子には、次の役割があります。
- SEND:アンプのプリアンプを通った信号を外部へ出力する
- RETURN:外部機器を通った信号をアンプのパワーアンプへ戻す
センド・リターンにディレイやリバーブを接続すると、アンプのプリアンプで作った歪みの後ろに空間系エフェクトを配置できます。
接続順は次のようになります。
ギター
↓
アンプのINPUT
↓
アンプのプリアンプ
↓
SEND
↓
ディレイやリバーブ
↓
RETURN
↓
アンプのパワーアンプ
↓
スピーカー
このように、センド・リターンはアンプのプリアンプとパワーアンプの間へ外部機器を接続するための端子です。
今回紹介するリターン挿しでは、SEND端子は使用せず、HX STOMP XLを直接RETURN端子へ接続します。
リターン挿しとは
リターン挿しとは、実機アンプのプリアンプを使用せず、HX STOMP XLをアンプのRETURN端子へ直接接続する方法です。
HX STOMP XLのプリアンプモデルで音色を作り、実機アンプのパワーアンプとキャビネットを使って音を出します。
接続順は次のとおりです。
ギター
↓
HX STOMP XLのプリアンプモデル
↓
HX STOMP XLのOUTPUT
↓
実機アンプのRETURN
↓
実機アンプのパワーアンプ
↓
キャビネット
実機アンプ前面のINPUT端子は使用しません。
HX STOMP XLを通常どおりアンプのINPUT端子へ接続すると、信号は次のように流れます。
HX STOMP XLのプリアンプモデル
↓
実機アンプのプリアンプ
↓
実機アンプのパワーアンプ
HX STOMP XLと実機アンプの両方のプリアンプを通るため、実機アンプ側の音色の影響を強く受け、HX STOMP XLで作った音を再現しにくくなる場合があります。
RETURN端子へ接続すれば、実機アンプのプリアンプを通さず、HX STOMP XLで作った音をパワーアンプへ送ることができます。
リターン挿しのメリット
リターン挿しの大きなメリットは、スタジオやライブハウスでも、HX STOMP XLで作った音を再現しやすいことです。
使用するアンプが変わっても音作りを維持しやすい
通常のINPUT接続では、使用する実機アンプのプリアンプによって音色が大きく変わります。
リターン挿しでは、音作りの中心となるプリアンプをHX STOMP XL側に固定できるため、スタジオやライブハウスのアンプが変わっても、普段の音に近づけやすくなります。
私もスタジオやライブでは、HX STOMP XLのプリアンプモデルからMarshallのRETURN端子へ接続しています。
パワーアンプやキャビネットによって最終的な出音は変わりますが、毎回ゼロから音を作り直す必要がなく、リハーサル時の調整も少なく済みます。
複数のアンプモデルを切り替えられる
HX STOMP XLには、さまざまなアンプを再現したプリアンプモデルが収録されています。
例えば、歪み用のDiezel VH4とクリーン用のJC-120を、一台の実機アンプから出力しながらフットスイッチで切り替えられます。
実機のアンプヘッドを複数台用意しなくても、曲や場面に合わせて異なるアンプのキャラクターを使い分けられる点も大きなメリットです。
エフェクトの接続順をHX STOMP XL内で完結できる
歪みの前に配置するワウやブースターから、歪みの後ろに配置するコーラス、ディレイ、リバーブまで、HX STOMP XL内で自由に並べられます。
実機アンプのセンド・リターンへ複数のケーブルを接続する必要がなく、基本的にはギター、HX STOMP XL、アンプのRETURN端子をつなぐだけで使用できます。
リターン挿しの注意点
リターン挿しをするときは、HX STOMP XLと実機アンプの出力レベルや音量設定に注意が必要です。
OUTPUT LEVELをアンプに合わせる
HX STOMP XLのOUTPUT LEVELには、「INST」と「LINE」の設定があります。
接続するアンプのRETURN端子がインストゥルメントレベルの場合は「INST」、ラインレベルの場合は「LINE」に設定します。
設定場所は、HX STOMP XLの次の項目です。
Global Settings
↓
Ins/Outs
↓
Output Level
アンプによってRETURN端子の仕様が異なるため、使用するアンプの取扱説明書や本体の表記を確認してください。
音量を下げた状態から接続する
アンプのRETURN端子へ接続すると、アンプ前面のGAINやVOLUMEを通らず、パワーアンプへ信号が送られる場合があります。
そのため、接続時は次の音量を下げた状態から、少しずつ上げて確認するのが安全です。
- HX STOMP XLのメインボリューム
- アンプのMASTER VOLUME
- アンプのエフェクトループレベル
特に初めて使用するアンプでは、急に大きな音が出ないよう注意してください。
使用できるアンプ側のツマミが変わる
リターン挿しでは、実機アンプのプリアンプを通らないため、前面のGAINやイコライザーが効かなくなる場合があります。
どのツマミが使用できるかは、アンプによって異なります。
私が使用したアンプでは、次のような違いがありました。
- Marshall JCM2000:主にMASTER VOLUMEで音量を調整
- Marshall JCM900:MASTER VOLUMEに加えて、PRESENCEやREVERBも使用可能
- JC-120:接続するRETURN端子や本体の設定によって動作が異なる
リターン挿しを使用する際は、アンプ側のイコライザーに頼らず、基本的な音色をHX STOMP XL側で作っておくのがおすすめです。
キャビネットモデルは基本的に使用しない
実機アンプのRETURN端子へ接続する場合は、実機のキャビネットから音を出すため、HX STOMP XL内のキャビネットモデルやIRは基本的に使用しません。
通常は、AmpモデルではなくPreampモデルを使用するか、AmpブロックのCab部分を外して使用します。
ただし、音作りに正解があるわけではないため、キャビネットモデルを入れた音が好みに合う場合は、実際の出音を確認しながら調整しても問題ありません。
音作り例:私のセッティング
私は、HX STOMP XLのPreampモデルから、MarshallアンプのRETURN端子へ接続しています。
基本的な接続順は次のとおりです。
ギター
↓
HX STOMP XL
↓
MarshallアンプのRETURN
↓
パワーアンプ
↓
キャビネット
HX STOMP XLでは、主に次のプリアンプモデルを使用しています。
- 歪み:Diezel VH4のモデリング
- クリーン:Roland JC-120のモデリング
- 曲によって使用:EVH 5150IIIのモデリング
歪みの中心にはDiezel VH4のプリアンプモデルを使用しています。
低音が膨らみすぎないように調整しながら、バンドの中でも輪郭が残る歪みを作っています。
クリーンではJC-120のプリアンプモデルを使用し、コーラスやディレイなどのエフェクトを組み合わせています。
曲によっては、Diezel VH4よりも荒さや押し出しが欲しい場合に、EVH 5150III系のプリアンプモデルを使用することもあります。
また、私は1曲ごとにプリセットを作り、スナップショットで主に次の音を切り替えています。
- 歪み
- ソロ
- 歪み+モジュレーション
- クリーン
この方法なら、歪みとクリーンで異なるプリアンプモデルを使いながら、ディレイやコーラスなどのオン・オフもまとめて切り替えられます。
実機アンプの種類によってパワーアンプやキャビネットの影響は受けますが、音作りの中心をHX STOMP XL側に固定できるため、スタジオやライブハウスでも普段に近い音を再現しやすくなります。
リハーサルでは、アンプ側の音量やHX STOMP XLの全体的なEQを微調整する程度で済むことが多く、使用するアンプが変わるたびに音を一から作り直す必要がありません。
まとめ
HX STOMP XLを実機アンプで使用する場合、私がおすすめする接続方法がリターン挿しです。
リターン挿しでは、HX STOMP XLのPreampモデルで音色を作り、実機アンプのパワーアンプとキャビネットを使用して音を出します。
ギター
↓
HX STOMP XL
↓
実機アンプのRETURN
↓
パワーアンプ
↓
キャビネット
リターン挿しの主なメリットは、次のとおりです。
- HX STOMP XLで作った音をスタジオやライブハウスでも再現しやすい
- 使用する実機アンプが変わっても、音作りの中心を維持しやすい
- 歪み用とクリーン用など、複数のPreampモデルを切り替えられる
- 歪みの前後に配置するエフェクトをHX STOMP XL内で完結できる
パワーアンプやキャビネットによって最終的な出音は変わりますが、音色への影響が大きいプリアンプ部分をHX STOMP XL側に固定できるため、毎回ゼロから音を作り直す必要がありません。
私も、スタジオやライブではHX STOMP XLからMarshallのRETURN端子へ接続しています。使用するアンプに合わせて音量や全体的なEQを微調整するだけで、普段作っている音に近づけやすい点を便利に感じています。
HX STOMP XLをスタジオやライブハウスのアンプで使用している方は、アンプの仕様と音量に注意しながら、リターン挿しを試してみてください。
HX STOMP XLの音色やエフェクトをまとめて切り替えたい場合は、スナップショット機能も便利です。詳しい設定方法は、以下の記事で紹介しています。
HX STOMP XL・HX STOMP・HX Effectsの選び方
この記事で紹介したリターン挿しを使用する場合は、アンプやプリアンプのモデリングを搭載した「HX STOMP XL」または「HX STOMP」が選択肢になります。
HX STOMP XL
私が使用しているモデルです。
HX STOMPよりもフットスイッチが多く、スナップショットやエフェクトの切り替えを本体だけで行いやすいのが特徴です。
ライブで複数の音色を切り替えたい方や、外付けフットスイッチを追加せずに使用したい方には、HX STOMP XLがおすすめです。
※Safari等でリンクが表示されない場合は、「コンテンツブロッカーをオフ」にして再読み込みしてください。
HX STOMP
HX STOMP XLと同じく、アンプやキャビネット、エフェクトのモデリングを搭載しています。
フットスイッチは少なくなりますが、本体がコンパクトなため、ペダルボードを小さくまとめたい方に向いています。
※Safari等でリンクが表示されない場合は、「コンテンツブロッカーをオフ」にして再読み込みしてください。
HX Effects
HX Effectsは、主にエフェクト機能を使用するためのモデルです。
アンプやキャビネットのモデリングは搭載されていないため、この記事で紹介したようにHXシリーズのプリアンプモデルで音を作り、実機アンプへリターン挿しする用途には向いていません。
実機アンプの音を中心にして、歪み、モジュレーション、ディレイなどのエフェクトをまとめて使用したい方に向いています。
※Safari等でリンクが表示されない場合は、「コンテンツブロッカーをオフ」にして再読み込みしてください。
おまけ
私が写真で使用しているのはこちらのキャップです。
※Safari等でリンクが表示されない場合は、「コンテンツブロッカーをオフ」にして再読み込みしてください。

コメント